農業機械の耐用年数
~法定・設計・実測、その深淵を解き明かす~

農業は、私たちの食卓を支える基盤であり、その生産性を高める上で、農業機械は不可欠な存在です。しかし、高性能化・大型化が進む現代の農業機械は、 一台数百万、時には数千万円に及ぶ高額な投資を伴います。このような背景から、農業経営者にとって「この機械は一体どれくらい使えるのか?」という「耐用年数」の問いは、 経営戦略の根幹に関わる極めて重要なテーマとなっています。

今回は、この農業機械の耐用年数について、税法上の「法定耐用年数」、メーカーが製品に込める意図を示す「設計耐用年数」、 そして実際に現場で使われる中で見えてくる「実測耐用年数」という、三つの異なる視点から、その深淵を解き明かしていきます。 それぞれの耐用年数が持つ意味合い、算出根拠、そしてそれが農業経営に与える影響を詳細に考察することで、より戦略的な機械導入と賢明な運用、 そして持続可能な農業経営の一助となることを目指します。

1. 法定耐用年数:税務上の基準と、その多層的な背景

まず、最も一般的に認知されている「法定耐用年数」から掘り下げていきましょう。 これは、減価償却資産の取得費用を、その資産が収益を生み出す期間にわたって費用配分するための、税法によって定められた期間です。 国税庁が公表する「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」に基づき、農業機械もその種類や用途に応じて細かく区分され、それぞれに耐用年数が設定されています。

主要な農業機械の法定耐用年数(例):

名称 概要 法定耐用年数
トラクター(農業用) 大型・中型・小型を問わず、一般的な農業用トラクターに適用されます 7年
田植え機 乗用型、歩行型を問わず、稲作における田植え作業に使用される機械 5年
コンバイン 稲、麦などの収穫作業に用いられる自脱型、普通型コンバイン 5年
乾燥機(穀物用) 米、麦、豆類などの収穫後の乾燥に使用される施設 10年
フォークリフト(農業用) 農産物の運搬や資材の積み下ろしに特化したフォークリフト 4年
耕うん機(小型) 家庭菜園用や小規模農家向けの小型耕うん機 4年
農業用車両(例:運搬車) 特定用途の運搬車両 4年
ビニールハウス(簡易なもの) 骨組みが簡易で、比較的短期間での使用を想定したもの 3年
ビニールハウス(堅固なもの) 鉄骨などを用いた、より耐久性の高い施設 7年
水まわりくん(本体) 水田の水管理省力化に用いられる多機能型自動給水栓 7年

※上記以外にも、乾燥機、選別機、動力噴霧器、耕うん機など、多くの一般的な農業機械 が「農業用設備」として法定耐用年数7年とされています。 農業機械の法定耐用年数は、財務省令「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」および国税庁の耐用年数表をもとに確認できます。 例えば、農業用機械や施設については、資産の種類・構造・用途に応じて耐用年数が定められています。 法定耐用年数は、機械の種類、構造、用途、資産区分によって異なる場合がありますので、実際の適用にあたっては、最新の法令・国税庁資料や税理士等への確認をお願いします。

【参考】
e-Gov法令検索「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」
国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」

法定耐用年数の算出ロジックと目的

法定耐用年数の設定には、いくつかのロジックと目的が存在します。

    1.公平な課税の実現
    企業や個人事業主が資産を購入した際に、その費用を一括で計上してしまうと、その年の利益が極端に変動し、税負担が不公平になる可能性があります。減価償却を通じて費用を複数年にわたって分散させることで、年ごとの利益をより正確に反映させ、適正な税負担を求めるという基本的な考え方があります。
    2.経済的陳腐化の考慮
    機械は物理的に摩耗するだけでなく、技術革新によって新しい、より効率的な機械が登場することで、既存の機械の価値が相対的に低下します。これを「経済的陳腐化」と呼びます。法定耐用年数は、ある程度の経済的陳腐化も考慮に入れ、機械の更新サイクルを間接的に促す側面も持ち合わせています。
    3.産業ごとの平均的な使用実態
    国税庁は、特定の機械が一般的にどれくらいの期間、経済活動に寄与するかを、統計データや業界団体からのヒアリングなどを基に推計しています。ただし、これはあくまで「平均的な使用実態」であり、個々の農業経営体における特殊な使用状況やメンテナンスレベルを全て反映することは困難です。
    4.政策的な誘導
    税制は、特定の産業の育成や技術革新の促進といった政策的な目的のために用いられることもあります。法定耐用年数が短く設定されれば、早期の機械更新が促され、産業全体の生産性向上に寄与する可能性もあります。

法定耐用年数と実態との乖離

しかし、多くの農業従事者が実感しているように、この法定耐用年数は、機械が実際に使える物理的な寿命や経済的な寿命と必ずしも一致しません。「法定耐用年数を過ぎても、まだまだ現役でバリバリ使える機械は山ほどある」という声は、現場から頻繁に聞かれます。 この乖離が生じる本質は、法定耐用年数が「税務上の便宜的基準」であるという点にあります。税法は、個別具体的な機械のコンディションや、それを扱う人間の努力を評価するものではありません。あくまで、社会全体の平均的な状況に基づき、公平性と簡便性を追求した結果として導き出された数字なのです。


法定耐用年数を活用する経営戦略

それでも、法定耐用年数を理解した上で、経営に活用することが重要です。

    1.資金計画の精度向上
    減価償却費は、企業の課税所得を減らし、それによって手元に残るキャッシュを増やす効果(タックスシールド効果)があります。新規機械導入の際の投資回収期間や、将来の買い替え資金の積立計画を立てる上で、減価償却費の計上は不可欠です。
    2.経営分析の指標
    減価償却費を考慮した損益計算書を作成することで、より正確な経営状況を把握できます。また、固定資産の回転率などの経営指標を分析する際にも、法定耐用年数は参考となります。
    3.リースやレンタルの判断基準
    法定耐用年数が短い機械の場合、購入よりもリースやレンタルを選択することで、初期投資を抑え、陳腐化リスクを回避する戦略も有効です。

法定耐用年数は、機械の「寿命」というよりは、税務会計上の「償却期間」と捉え、経営のツールとして賢く活用すべき数字なのです。


2. 設計耐用年数:メーカーが製品に込める品質と、その限界への挑戦

次に、「設計耐用年数」について深く考察していきます。これは、機械メーカーが製品を設計・開発する際に、その製品が安全かつ効率的に、そして期待される性能を維持できる期間として想定しているものです。多くの場合、特定の稼働時間(例:エンジン10,000時間)、走行距離、あるいは使用サイクル数(例:油圧シリンダー50万サイクル)を基準に設定されます。


設計耐用年数の多角的算出根拠

メーカーは、設計耐用年数を設定するために、極めて多岐にわたる要素を考慮し、複雑な計算と検証を重ねます。

    1.材料科学と疲労解析
    • 素材選定
      各部品(フレーム、エンジンブロック、ギア、ベアリング、油圧ホース、シール材など)に最適な素材(高張力鋼、特殊合金、耐熱樹脂、高性能ゴムなど)を選定します。それぞれの素材の引張強度、降伏強度、疲労強度、耐摩耗性、耐腐食性、耐熱性、耐候性などを詳細に評価します。
    • 疲労寿命予測
      材料の疲労特性データ(S-N曲線など)に基づき、繰り返し負荷に対する部品の寿命を予測します。特に、振動や繰り返し応力にさらされる部品(クランクシャフト、コネクティングロッド、アクスルなど)は、徹底した疲労解析が行われます。
    2.構造力学と応力解析
    • 有限要素法(FEM)解析
      コンピュータシミュレーションを用いて、機械全体のフレームや各部品に加わる応力分布を詳細に解析します。応力集中が発生しやすい箇所を特定し、補強や形状変更を行うことで、構造的な弱点を排除します。
    • 剛性設計
      ねじれや曲げに対する剛性を確保し、変形を最小限に抑える設計を行います。特に、高負荷がかかる作業機との連結部や、走行装置のフレームなどは、高い剛性が求められます。
    3.部品ごとの寿命設計
    • パワーユニット
      エンジン、トランスミッション、油圧ポンプなどの主要な駆動系部品は、それぞれが持つ設計寿命(例:エンジンオーバーホールサイクル)を考慮し、機械全体の設計耐用年数と整合性を取ります。
    • 摩耗部品
      ブレーキパッド、クラッチディスク、タイヤ、フィルター、ベルト、チェーン、ナイフなどの摩耗部品は、交換を前提とした寿命が設定され、定期交換が推奨されます。
    • 電気・電子部品
      センサー、ECU(電子制御ユニット)、配線ハーネスなどは、熱、振動、湿度に対する耐久性が評価され、設計寿命が設定されます。
    4.環境要因と耐久性評価
    • 防塵・防水設計
      農作業現場は、土埃、泥、水にさらされることが多いため、各部品の密閉性や防水・防塵性能が徹底的に検証されます。
    • 耐熱・耐寒設計
      エンジンルームの熱対策や、寒冷地での始動性・作動性確保のための設計が行われます。
    • 耐腐食設計
      塗装、メッキ、防錆処理など、金属部品の腐食を防ぐための対策が施されます。
    5.実機試験と信頼性評価
    • 耐久試験
      試作機を実際の作業環境下で、設計耐用年数を超える期間、過酷な条件で運転する耐久試験を行います。 水まわりくんでは、耐久試験として扉開閉試験、操作ボタンの打鍵試験、および駆動モーターの耐久試験などを実施しています。 いずれも、年間の使用回数を想定して、繰り返し回数や負荷条件を定め、設計安全率を2~3倍程度加算して試験を実施し、合否を判定します。
    • 加速寿命試験
      短期間で機械の寿命を評価するため、通常よりも厳しい条件(高温、高負荷、高速運転など)で試験を行います。 水まわりくんの加速試験では、実際の屋外環境を基準として平均温湿度基準を定め、その条件を1としたとき例えば温度条件は、アレニウスの法則に基づき10℃上昇するごとに2倍の加速率となるため、 例えば40℃上昇させると2の4乗倍(16倍の加速状態)という計算になります。実際には、使用している部品それぞれが同じような試験を実施し、 最大使用温度範囲化で何時間の耐久性があるかを各メーカーで持っていますので、そのデータをベースに寿命計算を行い、加速試験を行います。
    • フィールドテスト
      実際の農家でモニター試験を実施し、現場からのフィードバックを設計に反映させます。 モニター試験は重要で、実際の使用環境で想定外の使われ方をしたり、想定外の悪条件だったりすることが稀に発生します。 水まわりくんでは、雪国や電波環境の悪いエリア、水まわりくん取付位置が木陰になる場合(ソーラー発電量の低下)などの条件下でモニター試験を実施し、 水まわりくんの限界を把握し、改善・改良に努めています。

設計耐用年数の持つ意味とメーカーの責任

設計耐用年数は、メーカーがその製品の品質と信頼性に対して提示する、極めて重要な「保証期間」であり、同時に「性能維持の目安」でもあります。この期間内であれば、メーカーが推奨する適切なメンテナンスが行われている限り、通常の使用状況において、機械が期待される性能を発揮し、重大な故障が発生するリスクは低いとされています。

もし設計耐用年数内に、製品の設計や製造上の欠陥に起因する重大な故障が生じた場合、メーカーは保証期間内の修理や部品交換に応じるなど、その責任を果たすことになります。これは、ユーザーが安心して高額な機械を導入するための、メーカーからの信頼の証と言えるでしょう。


設計耐用年数の限界と、それを超えるための課題

しかし、設計耐用年数もまた、絶対的なものではありません。メーカーは「標準的な使用状況」を前提として設計耐用年数を設定しており、実際の現場では様々な要因がその期間を左右します。

  • 過酷な使用環境
    日本の農業は、中山間地域の急傾斜地や、粘土質の硬い土壌、高温多湿な気候など、世界的に見ても過酷な作業環境が多いことで知られています。メーカーが想定する標準的な環境から逸脱する高負荷な作業は、機械に過度なストレスを与え、設計耐用年数を短縮させる最大の要因となります。
  • 不適切な操作
    無理な負荷をかける運転、急発進・急停止の繰り返し、不適切なアタッチメントの使用、指定外の燃料やオイルの使用などは、機械の各部に過度な負担をかけ、寿命を著しく縮めます。
  • メンテナンスの不履行
    メーカーが推奨する定期点検、オイル交換、フィルター交換、グリスアップなどを怠ると、部品の摩耗や劣化が急速に進行し、設計耐用年数に達する前に故障が発生するリスクが高まります。特に、農業機械は土埃や泥にまみれることが多いため、清掃と点検は非常に重要です。
  • 部品の供給と価格
    設計耐用年数を過ぎた後も機械を使い続けたい場合、部品の供給が滞ったり、部品価格が高騰したりすることが課題となる場合があります。メーカーは一定期間の部品供給を保証していますが、永久ではありません。

設計耐用年数は、機械の潜在能力を示す指標であり、それを最大限に引き出し、さらに超えて使用するためには、ユーザー側の適切な運用とメンテナンスが不可欠となります。メーカーの技術力と、ユーザーの運用努力が融合して初めて、機械の真価が発揮されると言えるでしょう。


3. 実測耐用年数:現場が語る真実と、寿命を延ばす匠の技

そして、最も現場感覚に近く、農業経営者にとって最も関心の高いのが「実測耐用年数」です。これは、実際に農業現場で機械がどれくらいの期間、あるいはどれくらいの稼働時間使われているか、という実態を表すものです。この実測耐用年数こそが、法定耐用年数や設計耐用年数とは一線を画す、農業機械の真の「寿命」を物語ると言えるでしょう。


実測耐用年数の多様性と、その背景にある「差」

実測耐用年数は、機械の種類やメーカー、モデルだけでなく、個々の農業経営体における使用状況や管理体制によって、驚くほど大きく異なります。ある農家では、法定耐用年数をわずかに超えた程度で買い替えを進める一方、別の農家では、同じ機械を法定耐用年数の2倍、3倍もの期間、大切に使い続けているというケースは決して珍しくありません。

例えば、法定耐用年数が7年のトラクターでも、以下のような幅広い実測耐用年数が見られます。

実測耐用年数 使い方の特徴 メリット デメリット
5~7年
(短期間更新型)
最新技術への早期移行、作業規模の拡大に伴う大型機への買い替え、リース契約の満了、あるいは比較的過酷な使用状況による早期劣化などが理由 最新の効率的な機械を導入でき、作業効率や燃費性能の向上、故障リスクの低減が期待できる 減価償却期間中に買い替えるため、資産価値が残った状態での売却となり、初期投資の回収が十分でない可能性がある
7~10年
(標準更新型)
法定耐用年数を少し超えて使う一般的なケースで一度程度の主要部品交換やオーバーホールを行うことで性能を維持 減価償却をほぼ終えるため、税務上のメリットを享受しつつ、機械の寿命をある程度活用できる 部品交換や修理費用が発生する可能性が高まる
10~15年
(長期使用型)
適切なメンテナンスと丁寧な使用により、長く活躍するケースで大規模な修理や部品交換を複数回行いながら性能を維持 大初期投資を十分に回収し、機械のコストパフォーマンスを最大化できる 修理費用やメンテナンス費用が増加する傾向にあり、突発的な故障や最新の機械に比べて燃費や作業効率で劣る場合がある
15年以上
(超長期使用型)
非常に稀ではあるが、徹底したメンテナンスと熟練した操作、そして機械への深い愛着によって、驚くほど長期間使われるケース 機械にかかる年間コストが極めて低くなる 部品供給が困難になるリスクや修理費用が機械の価値を上回るリスクがあり最新機との性能差が顕著になる

この「差」を生み出す要因こそが、農業機械の真の寿命を決定づける要素であり、そこにはまさに「匠の技」とも呼べる、農業経営者の知恵と努力が凝縮されています。


実測耐用年数を最大化する「匠の技」

実測耐用年数を大きく左右する要因は多岐にわたりますが、主に以下の点が挙げられます。これらは、単なる「メンテナンス」という言葉では片付けられない、経験と知識に基づいた「機械との対話」と言えるかもしれません。

    1.徹底した予防保全と計画的メンテナンス
    • 定期点検の厳守
      メーカーが推奨する点検項目(稼働時間ごと、季節ごとなど)を厳守し、専門のサービス店による点検と、日々の目視点検・作動確認を怠らない。
    • 消耗品の早期交換
      オイル、フィルター類、ベルト、チェーン、ナイフ、ゴム部品など、摩耗・劣化が予測される消耗品は、完全に寿命を迎える前に計画的に交換する。特にオイルは、人間の血液に例えられるほど重要で、種類と交換時期を厳守する。
    • グリスアップの徹底
      各部の可動部、ベアリング、ジョイントなどに定期的にグリスを注入することで、摩擦を低減し、部品の摩耗や固着を防ぎ、異音の発生を抑える。
    • 異常の早期発見と早期対応
      異音、異常振動、油漏れ、水漏れ、性能低下、排ガスの色や臭いの変化など、わずかな変化に気づいたら、放置せずに早めに点検・修理を行う。小さなトラブルが大きな故障に発展するのを未然に防ぐことが、修理費用を抑え、機械の寿命を延ばす最大の秘訣。
    • シーズンオフの整備
      収穫後や冬期間など、作業が少ない時期に、来シーズンに向けて大規模な点検・整備を行う。これにより、繁忙期のトラブルを回避し、作業効率を維持できる。
    2.熟練された丁寧な操作
    • 適切な負荷での運転
      機械の能力を超えた無理な作業、例えば、牽引力の限界を超える重い作業機を牽引したり、設定速度を超過したりすることは避ける。常に機械が「楽に」作業できる状態を意識する。
    • 急激な操作の回避
      急発進、急ブレーキ、急旋回、急なクラッチ操作、急な油圧レバー操作など、機械に大きな衝撃を与える操作は、駆動系、ミッション、油圧系統、フレームなどに過度なストレスを与え、寿命を縮める。スムーズで滑らかな操作を心がける。
    • 暖機運転とクールダウン
      エンジン始動時は、すぐに高負荷をかけず、十分に暖機運転を行うことで、エンジンオイルが各部に潤滑し、部品の摩耗を防ぐ。作業終了後も、すぐにエンジンを停止せず、しばらくアイドリング運転を行い、エンジンやターボチャージャーをクールダウンさせることで、熱によるダメージを軽減する。
    • 路面状況への配慮
      凹凸の激しい不整地や、石の多い場所での無理な走行は避け、常に路面状況に注意を払い、適切な速度と操作で走行する。
    • アタッチメントの適切な使用
      各アタッチメントの取扱説明書を遵守し、適切な方法で装着・使用する。不適切なアタッチメントの使用や、間違った接続方法は、本体への負担を増大させる。
    3.理想的な保管環境
    • 屋根付きの場所での保管
      直射日光、雨、雪、風から機械を守ることで、塗装の劣化、ゴム部品の硬化・ひび割れ、電気系統の腐食、油圧ホースの劣化などを防ぎ、機械の外観と機能を維持する。
    • 湿気の少ない場所
      サビの発生を抑えるため、通気性が良く、湿気の少ない場所での保管が望ましい。
    • 冬期間の対策
      不凍液の確認・補充、バッテリーの取り外し(または補充電)、燃料タンクの満タン保管(結露防止)、タイヤの空気圧調整、洗浄と乾燥、防錆剤の塗布など、適切な越冬対策を施す。
    4.確かな技術と信頼できるサービス網
    • 専門家による修理とオーバーホール
      エンジン、ミッション、油圧系統などの複雑な修理やオーバーホールは、専門知識と技術を持つサービス店に依頼することが不可欠。自己流の修理は、かえって機械の寿命を縮めたり、安全性を損なったりするリスクがある。
    • 純正部品の使用
      メーカー純正部品や推奨部品を使用することで、機械本来の性能を維持し、部品間のバランスを保つことができる。安価な互換品は、一時的なコスト削減になっても、結果的に機械の寿命を縮める可能性がある。
    • サービス店との良好な関係
      信頼できるサービス店と日頃から良好な関係を築き、定期的な情報交換やアドバイスを受けることで、機械の状態を常に最適に保つことができる。

実測耐用年数から学ぶ、機械との「共生」

実測耐用年数が示すのは、機械の寿命は、その機械が持つ潜在能力だけでなく、それを扱う人間の「手入れ」と「心遣い」、そして「知識」によって大きく左右されるという真実です。日々の地道な努力が、高額な投資である農業機械の価値を最大限に引き出し、経営に貢献する期間を長くすることにつながります。

それは単なるコスト削減に留まらず、愛着を持って機械と向き合い、その「声」を聞き、最適な状態を保つことで、機械が最高のパフォーマンスを発揮し、農業生産に貢献するという、機械との「共生」の哲学とも言えるでしょう。


4. 三つの耐用年数を統合し、持続可能な農業経営へ

ここまで、法定耐用年数、設計耐用年数、実測耐用年数の三つの視点から、農業機械の耐用年数について深く考察してきました。それぞれの耐用年数が持つ意味合いを統合的に理解し、農業経営に活かすことが、持続可能で収益性の高い農業を実現するための鍵となります。


三つの耐用年数の統合的理解と経営への応用

    1.法定耐用年数
    • 役割: 税務上の「償却期間」であり、経営計画における減価償却費の目安。
    • 活用: 新規機械導入時の資金計画、投資回収シミュレーション、節税対策、リースか購入かの判断基準。あくまで会計上の数字として捉え、実際の機械寿命とは切り離して考える。
    2.設計耐用年数
    • 役割: メーカーが保証する製品の品質と信頼性の目安。機械のポテンシャルを示す。
    • 活用: 機械選定時のメーカー評価、推奨されるメンテナンスサイクルの理解、部品交換時期の目安。この期間内は、メーカーの保証が適用されるため、安心して使用できる期間として認識する。
    3.実測耐用年数
    • 役割: 現場の実際の使用状況と管理体制によって変動する、機械の真の寿命。
    • 活用: 日々のメンテナンス計画の策定、操作方法の改善、保管環境の整備、そして最終的な買い替え時期の判断基準。この期間をいかに長くできるかが、機械のコストパフォーマンスを最大化し、経営収益を高める上で最も重要となる。

戦略的な機械導入から運用、更新までのサイクル

これらの耐用年数を統合的に理解することで、農業経営者は、機械の導入から運用、そして更新に至るまで、より戦略的なサイクルを構築できます。

  • 導入段階
    • 法定耐用年数を基に、減価償却費や税務メリットを計算し、事業計画に組み込む。
    • 設計耐用年数を比較検討し、信頼性や耐久性の高い機械を選定する。
    • 自社の作業環境や使用頻度を考慮し、実測耐用年数を最大化できるような機種やオプションを選び、初期投資を最適化する。
  • 運用段階
    • 設計耐用年数を意識し、メーカー推奨の点検・整備スケジュールを厳守する。
    • 実測耐用年数を延ばすため、日々の丁寧な操作、清掃、予防保全を徹底する。
    • 専門のサービス店と連携し、定期的な診断や、必要に応じた修理・部品交換を行う。これにより、突発的な故障による作業の中断リスクを低減し、機械のパフォーマンスを維持する。
  • 更新段階
    • 法定耐用年数を過ぎたからといって、すぐに買い替えるのではなく、機械の実際の状態、作業効率、修理費用の累積、部品供給の状況、そして新しい機械の導入による生産性向上効果などを総合的に判断し、最適な買い替え時期を見極める。
    • 実測耐用年数を考慮し、現行機の残存価値を最大限に引き出すタイミングで売却や下取りを検討する。

農業機械は、決して安価な買い物ではありません。それは、未来の収穫を約束する「種」であり、経営を支える「幹」です。 だからこそ、その導入から運用、そして買い替えに至るまで、長期的な視点と計画性を持って取り組むことが、持続可能な農業経営の鍵となります。


5.まとめ

私たち「ほくつうアグリ」は、お客様の「水まわりくん」が最高のパフォーマンスを発揮し、長く活躍できるよう、導入のご相談から日々のメンテナンス、そして買い替え時期のご提案に至るまで、トータルでサポートさせていただきます。 「水まわりくん」の設計耐用年数は10年で実測耐用年数は福井県のお客様で大切にお使いいただき11年目を迎えています。 機械の「寿命」は、ただの数字ではありません。それは、お客様の経営を支え、未来を育む大切なパートナーとしての「歴史」そのものです。 ご不明な点やご相談がございましたら、いつでもお気軽にお声がけください。豊富な知識と経験を持つ専門スタッフが、お客様の農業経営を力強くバックアップいたします。 私たちは、お客様が「水まわりくん」と長く、そして豊かに「共生」できる未来を共に築いていきたいと願っています。

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